(5)スマートデバイスの現状と方向性
1.スマートデバイスとは
辞典によると、スマートデバイスの定義は、
スマートフォンやタブレット型端末などの総称。明確な定義はないが、一般的にはインターネットに接続でき、さまざまなアプリケーションソフトを利用できる携帯型の多機能端末を指す。スマート端末。
ということです。
今、CRMに取り組む企業は、なぜ、このスマートデバイスに対応していく必要があるのでしょうか?
それは、消費者との接点である所有端末が劇的にスマートデバイスに移行しつつあるからです。
総務省の統計によると、既に国内でも約半分の消費者はスマートフォンを所有しています。また、2016年(平成28年)には世界で13億台に、年平均22.5%での成長が予測されており、高い成長が見込まれる有望市場であることも示唆されています。
一方で、ITC総研の調査によると、iPadに代表されるタブレット端末の方も、2015年度には年間出荷台数が1,041万台と、同年のノートPC出荷台数見込み(852万台)を逆転する見込みとのことです。
・ITC総研(外部リンク)
この動きを受け、Googleは、2015年4月に“モバイルフレンドリー”のアップデートを発表しました。
・google:検索結果をもっとモバイル フレンドリーに(外部リンク)
スマートフォンでの表示に対応していないWEBサイトの検索順位は表示順番が下がるということで、いわゆる“レスポンシブウェブデザイン”対応をしていないWEBサイトは消費者から検索・閲覧してもらえる可能性が低くなっていきます。
どうですか?自社のCRMを実施する上での対象端末が、いまだにPCユーザ向けとガラケーユーザ向けの2種類だけにしか対応していない会社は、スマートデバイス対応をした競合他社の顧客施策に遅れを取っていくのではないでしょうか?
これについては、後で再度ご説明します。
2.スマートデバイスの携帯電話やPCとの違い
スマートデバイスと携帯電話(ガラケー)の違いを整理してみます。もちろんたくさんの形状や機能的な違いがありますので、ここでは、“CRMに関係している部分の違い”についてお話します。
まず一番の大きな違いは、携帯電話は“ガラパゴス携帯”とも言われたように、“国内の消費者”が所有している端末でしたが、スマートデバイスは“世界の消費者”が所有しています。CRMに取り組む対象範囲が世界に広がりますね。
CRM施策での大きな点としては、スマートフォンと同期を取るようにして急速に発展したソーシャルメディアとの併用施策が挙げられます。
スマートフォンでは、各種のプログラムが“スマートフォンアプリ”という形でApp StoreやGoogle Play等のアプリ販売所で簡単にダウンロードして活用できるようになりました。
スマートフォンアプリ内にバーコードを表示することで“スマホ会員証”としても活用でき、従来のプラスチックカードの会員証に代わる存在として、需要が活発化してきています。
さらに地図アプリなどでのGPS(全地球測位システム)利用の一般化により“位置情報を活用したCRM”が実施可能になっています。
位置情報の取得手段としては、超音波やビーコンなどの新しい技術も登場しています。
業務用アプリを自社開発し、スマホやタブレット端末をサーバーと通信しながら活用するなど、これまでのノートPCが活躍していた業務端末の世界も変わりつつあります。
キャリア間の回線コストパフォーマンス競争も激化し、通信回線の料金もパケット定額制の完全普及により安くなり、Youtubeに代表される動画コンテンツの活用も活発化しています。
なお、その動きはソーシャルメディアと相まって、ますます活発化しています。動画コンテンツの活用は、これからのマーケティングやブランディングのキーだと言われています。写真機能のバージョンアップもめざましく、PinterestやInstagram等の写真投稿型メディアの活用もアパレル業界などで注目されています。
また、店頭においても従来Windows-PCをベースに開発されていたPOSレジから、PCクラウド対応のWEB POSのタブレット端末ベースへの置き換えが進んでいます。
さらに、スマートフォンに安価なアダプタを付けてクレジット決済が可能となるSquareなど、中小店鋪のクレジット決済にも革新が起きています。