こだわりを持った顧客管理でロイヤルカスタマーを育成
全日本DM大賞銀賞受賞企業のアプリ・DM活用術
やまとダイニング株式会社は1989年、焼肉店事業を中心に設立された。現在は焼肉店『焼肉やまと』、ECサイト『特選松阪牛やまと』を運営している。創業者の「どうせやるならうまい肉を提供したい」という考えを受け継ぎ、最高品質の牛肉(A5等級以上の黒毛和牛雌牛)を提供することにこだわりを持つ。2000年から毎年、松阪肉牛共進会*1が選出したチャンピオン牛の枝肉*2を競り落とすことで知られる、食肉市場で有名な企業だ。同社は販促に一際力を注いでおり、10年以上『betrend』を活用している。今回、代表取締役 勝氏に『betrend』の利用状況についてお話を伺った。
*1 松阪市、家畜商業協同組合などが共催する松阪牛品評会。 *2 頭部・尾・肢端・内臓を取り除いた骨付きの肉。
「認知してもらえなければお店には来てもらえない」
販促を効率化できる『betrend』を導入
顧客管理をする上で、いくつか課題もあった。まずは、会員登録処理だ。以前はポイントカード会員を募っていたが、お客様が記入した申込書をもとに、スタッフがPCで登録作業をする必要があった。
もうひとつ課題となっていたのが、ハガキDMの発送作業だ。デザインや文面はもちろん、印刷や発送などの作業もスタッフが行なうため、多くの手間や時間がかかっていた。販促が重要だと考える一方で、これらの作業はスタッフにとって負担が大きく、より良い接客を目指す同社にとっては削減すべきものとなっていた。
そこで導入したのが『betrend スマートフォンアプリ』(以降、アプリ)と『betrend スマートDM』だ。会員登録処理は、アプリ経由でお客様が直接情報を入力するため不要となった。ハガキDMの発送作業も、『betrend』の管理画面から原稿を入稿し、宛先を指定すれば、印刷・発送は印刷会社が対応してくれる。特に『betrend スマートDM』は、最少1枚からでも低コストで送ることができ、こまめにDMを送りたい同社にとって最適なソリューションだった。
既存システムの顧客情報を一元管理し、
低コストに販促まで行えることが導入の決め手
前述の課題解決に加えて、『betrend』導入の決め手となった項目について伺ったところ、以下の3点が挙がった。
【1】既存システムの会員情報が引き継げる
他社に比べて『betrend』は顧客データベースの項目を柔軟に設定できるため、既存システムの会員情報をそのまま引き継ぐことができた。
【2】導入費用が安い
『焼肉やまと』は、船橋本店の1店舗のみだ。アプリ・ハガキDM・顧客管理・ポイント管理など、豊富な機能を実現するにあたり、低コストで対応可能なサービスは他に無かったようだ。
【3】会員情報・利用履歴・ポイント情報を一元管理できる
アプリやハガキDMに必要な会員情報は『betrend』で一元管理できる。また、『betrend 店舗スタッフアプリ』でアプリ上に表示される会員証を読み取ることで利用履歴を記録し、利用金額に応じたポイントの付与もできる。これらの機能の幅広さも魅力となった。
アプリ会員証への切り替え告知で売上が前年比2割増に
会員数は2万人を超える
アプリを提供するにあたって、リリース時の告知方法や継続してご利用いただくための工夫についてもお話を伺った。
まずは、スタッフのアプリに対する理解度を高める必要があった。アプリのインストールを促すためには、お客様と直接コミュニケーションをとるスタッフの案内が重要となるからだ。
スタッフ全員に対して、実際にアプリを触ってもらいながら丁寧に説明することで理解度を高めた。スマートフォンに不慣れなお客様から使用方法を聞かれても、問題なく説明・対応ができるように指導したという。
お客様に対しては、リリースの告知をスタッフの声掛け・店内の掲示物・ダウンロード用QRコードが印刷されたハガキDMなど、複数の方法でインストールを促した。アプリをインストールするメリットとして、“アプリ会員価格”を設定し、非会員よりもお得に食事ができる特典も用意したという。
ポイントカードからアプリに切り替えるため、旧ポイントサービスが使えなくなることも告知していたが、複数の方法で丁寧にご案内したこともあり、問題なくアプリへの移行が完了した。
現在もアプリの会員数は増え続けており、2017年3月からの2年間で会員数は2万人を超えている。スタッフの声掛けが継続的に行われているため達成できた数字と言えるだろう。この他にもアプリには、毎日1回ポイントが当たるスクラッチゲームが用意されており、会員数の増加と継続利用に貢献している。
ロイヤルカスタマーを育成
経費対効果1,381%の全日本DM大賞受賞施策
会員化と継続利用の仕組みが整った同社が、次に取り組んだのはロイヤルカスタマーの育成だった。少子高齢化により、“脂ののった高品質の牛肉”を積極的に消費する人口自体が減っている。今後は食需要の縮小により新規顧客の獲得が難しくなると想定されるため、直接アプローチができる既存顧客の販促に力を入れ、ロイヤルカスタマーを育成していく方針だ。
ロイヤルカスタマーとは、『焼肉やまと』を“行きつけのお店”として認識しているお客様だと言える。“行きつけのお店”になるためには、お客様が外食をしたいと思った時に『焼肉やまと』をすぐに思い浮かべてもらえるよう、お店の存在を強く印象づける必要がある。
そこで、ハガキDMの送付とアプリのプッシュ通知(以降、プッシュ通知)を増やすことにした。具体的には、新規で会員登録したお客様全員に、登録1週間後・30日後・3ヶ月後に1枚ずつ特典付きハガキDMを送るようにしている。また、登録情報に誕生日以外の記念日も登録できる項目を設定することで、ハガキDMの送付機会を増やし、よりお店の印象が残るように工夫をしている。
ハガキDMの効果を最大限に引き出すため、送付予告やキャンペーン終了予告などのプッシュ通知を3回送る工夫をしている。これにより確実にご覧いただき使い忘れを防止する流れができ、レスポンス率が最高で16.24%、経費対効果が1,381%という結果を残すことができた。
この施策は効果の高さはもちろん、スマートフォンアプリとハガキDMを併用してロイヤルカスタマーを育成するという取り組みの新しさから、2019全日本DM大賞*3銀賞 & 審査員特別賞 クロスメディア部門を受賞した。同社は今後もこの施策を続け、ロイヤルカスタマーを増やしていく方針だ。
*3 主催:日本郵便株式会社 URL:https://www.dm-award.jp/
もっと顧客満足度をあげてきたい
プリペイドカードの導入も検討
最後に今後の展望を伺った。サービス向上のため、弊社のプリペイドカードに興味をお持ちのようだ。プリペイドカードの導入により、事前入金とキャッシュレス決済が可能となり、会計作業がスムーズになる。アプリ会員証との紐付けも可能なため、お客様にとってもスタッフにとっても利便性が高まる仕組みだ。会計作業の効率化により、接客に使える時間も増え、事前入金で店舗資金に余裕ができるなどのメリットがある。
牛肉の品質へのこだわりだけでなく、店頭でのおもてなしも重視している同社は、今後も顧客満足度の向上を目指して様々な施策を検討しているようだ。
*文中の商品名、社名等は、各社の商標または登録商標です。
*記事の内容は、2019年3月取材時のものです。