地域に愛され、地域と共に成長する老舗百貨店が、
スマホアプリで更なる顧客満足を目指す

岡山県を中心に百貨店を展開する株式会社天満屋は、スーパーマーケットやゴルフ場など20社以上の企業を傘下に持つ天満屋グループの中核企業であり、地域で圧倒的な知名度とブランド力を誇る有力企業だ。創業1829年という長い歴史を持つ同社は、受け継がれる伝統を守りながらも、先進的な経営で地域社会や市場環境の変化に対応し、成長を続ける企業でもある。今回は、百貨店事業本部営業企画チームの佐野氏に同社の様々な取り組みについて伺った。
“地域社会に貢献する”理念を守り続け、長年地元に愛される老舗百貨店
同社は、およそ190年前に小物や雑貨類を売る商店として創業した。その後呉服屋として発展し、約90年前に現在の業態である百貨店となり、現在は岡山県だけでなく広島県、鳥取県にも進出し、合計7店舗を展開している。
「弊社では“優良商品の販売を通じて、地域社会の生活・文化の向上に寄与する”という経営理念を掲げています。190年もの間、地域のお客様にご利用いただけているのも、この理念がお客様にご理解いただけているということだと感じています。また院展を始めとする、地方ではなかなか観られない催しを誘致したり、夏休み限定の“移動水族館”を毎年行ったりと、芸術や文化を地域の方に楽しんでいただく場所として機能する事ができているのかなと思います。」そう語るのは、同社の佐野氏だ。
同社は、およそ190年前に小物や雑貨類を売る商店として創業した。その後呉服屋として発展し、約90年前に現在の業態である百貨店となり、現在は岡山県だけでなく広島県、鳥取県にも進出し、合計7店舗を展開している。
「弊社では“優良商品の販売を通じて、地域社会の生活・文化の向上に寄与する”という経営理念を掲げています。190年もの間、地域のお客様にご利用いただけているのも、この理念がお客様にご理解いただけているということだと感じています。また院展を始めとする、地方ではなかなか観られない催しを誘致したり、夏休み限定の“移動水族館”を毎年行ったりと、芸術や文化を地域の方に楽しんでいただく場所として機能する事ができているのかなと思います。」そう語るのは、同社の佐野氏だ。
長い歴史がある企業というと、一見保守的な企業という印象があるが、取材を通じてその考えが全く当てはまらないことがわかる。
「弊社は小売業ですから、お客様の変化、社会の変化にスピーディに対応する必要があります。そのために、新しいことにどんどんチャレンジする社風だと思います。」
今まで百貨店がアプローチできなかった顧客をスマホアプリで開拓
2017年4月に『betrend スマートフォンアプリ』を使い『天満屋公式アプリ』をリリースし、新たな顧客開拓と顧客満足の向上へ向けた取り組みを開始した。
「最近では、新聞の折り込みチラシやテレビなど、従来の媒体ではアプローチできないお客様が増えており、将来的に告知手段の主流となるスマートフォン向けにアプリをリリースすることにしました。百貨店の主要な客層は50〜60代の方ですが、次世代の顧客となる現在の30〜40代をどうやって取り込むかを考えたときに、折り込みチラシなどの媒体を中心に考えるのは違うだろうと思いました。」
アプリをリリースして2ヶ月ほどで、1万人以上の顧客がダウンロードしており、これは目標を上回るペースだ。
2017年4月に『betrend スマートフォンアプリ』を使い『天満屋公式アプリ』をリリースし、新たな顧客開拓と顧客満足の向上へ向けた取り組みを開始した。
「最近では、新聞の折り込みチラシやテレビなど、従来の媒体ではアプローチできないお客様が増えており、将来的に告知手段の主流となるスマートフォン向けにアプリをリリースすることにしました。百貨店の主要な客層は50〜60代の方ですが、次世代の顧客となる現在の30〜40代をどうやって取り込むかを考えたときに、折り込みチラシなどの媒体を中心に考えるのは違うだろうと思いました。」
アプリをリリースして2ヶ月ほどで、1万人以上の顧客がダウンロードしており、これは目標を上回るペースだ。
「利用者で最も多いのは40代のお客様です。天満屋カード会員は60代が最も多いので、意図通りの客層にアプローチできていると思います。実際には多くの50代以上のお客様にもアプリをご利用いただいており、なかには80代のお客様が、店頭でアプリの登録方法を質問されたという話も聞いております。」
好調にスタートしたアプリは、館内での手配りチラシや、折り込みチラシ、天満屋カード会員へのダイレクトメールに同封するチラシなどで告知したという。それに加え、現場を重視し、店舗内の各テナントの販売スタッフにお客様への声がけを依頼したそうだ。「結果的には各テナントでの告知が、アプリ会員の獲得に大きく寄与したと思います。」
また天満屋カード会員で、メルマガを登録している会員の基盤があり、そこからアプリに流れてくるお客様も多かった。
そんな同社に『betrend』を採用した理由について伺った。
「アプリの導入にあたっては、“小さく始めて、大きく育てる”という方針を決めてサービスの選定を行いました。弊社では様々な面で新しい取り組みを行っているので、一つの施策に大きく投資するのは難しく、最小限のコストで開始して、コツコツと積み上げていこうと考えています。
百貨店事業本部営業企画チーム佐野氏
百貨店事業本部営業企画チーム佐野氏
そんな同社に『betrend』を採用した理由について伺った。
「アプリの導入にあたっては、“小さく始めて、大きく育てる”という方針を決めてサービスの選定を行いました。弊社では様々な面で新しい取り組みを行っているので、一つの施策に大きく投資するのは難しく、最小限のコストで開始して、コツコツと積み上げていこうと考えています。
選定に2ヶ月ほどかけて5、6社の候補を比較し、『betrend』の特長が弊社の方針と一番合致した、ということです。また、『betrend』を活用した来店促進施策のアイデアを複数ご提案いただきました。全てを試せてはいないのですが、企画内容は非常に良いと感じており、今後取り組んで行きたいです。」
ロイヤリティを高める『天満屋スタンプ』と顧客に寄り添う店舗からの情報配信

採用された施策は、アプリ内で貯めて、お買物券と交換できる『天満屋スタンプ』。天満屋スタンプの貯め方は2通りあり、館内に設置した電子スタンプを使った『来店スタンプ』と、週1回プッシュ通知で届く『スクラッチチャレンジ』だ。インタビュー時に館内を見た約10分の間に4名が電子スタンプを使って、来店スタンプを貯める姿があり、しっかりとお客様に認知・浸透している印象を受けた。

「これらのインセンティブは非常に多くのお客様にご利用いただいており、導入して良かったと思います。スクラッチは、アプリ会員の9割の方にご利用いただいており、来店していなくてもアプリを起動してもらうきっかけになっています。起動してもらえば、チラシを見てもらえたり、来店に繋がったりすると思います。」
また、アプリが継続的に利用されるためには、新しい情報が更新されているかも大切だ。
「アプリに配信する情報については、アプリのトップ画面に表示されるスライダー画像や、お知らせの内容など、各店舗に権限を委譲して、各店舗で配信しています。現場で日々お客様と接触している店舗が告知の内容を決めるのが一番だと思っていますので、本部では最低限のルールだけ決めて、あとは各店舗に委ねています。」
来店スタンプ付与ご案内の様子
「これらのインセンティブは非常に多くのお客様にご利用いただいており、導入して良かったと思います。スクラッチは、アプリ会員の9割の方にご利用いただいており、来店していなくてもアプリを起動してもらうきっかけになっています。起動してもらえば、チラシを見てもらえたり、来店に繋がったりすると思います。」
来店スタンプ付与ご案内の様子
また、アプリが継続的に利用されるためには、新しい情報が更新されているかも大切だ。
「アプリに配信する情報については、アプリのトップ画面に表示されるスライダー画像や、お知らせの内容など、各店舗に権限を委譲して、各店舗で配信しています。現場で日々お客様と接触している店舗が告知の内容を決めるのが一番だと思っていますので、本部では最低限のルールだけ決めて、あとは各店舗に委ねています。」
今後はクレジットカードとアプリの連携強化が鍵
天満屋では自社オリジナルのクレジットカードを発行しており、このカード会員基盤を中心にマーケティングを行っている。
「天満屋カードのお客様には、カードの利用履歴をもとにセグメントして、ダイレクトメールを送っております。男性の方に婦人商品を案内してもふさわしくないですし、特定の商品を多く買われるお客様には関連した商品の情報をお送りするようにしています。現状アプリについては、ほぼ一律に同じ情報をお出ししていますが、カード情報と連動はさせているので、今後はダイレクトメールと同様に、カードの利用履歴を元にセグメントした情報をアプリで送ることも検討しています。」
さらに佐野氏は、今後アプリによる情報配信が実際の売上にどの程度繋がっているのかを分析していきたいと語る。
「効果検証にはカードの利用情報とアプリのデータの連携を進めて、分析結果を現場にフィードバックしていくことが重要だと思います。また、弊社は全店舗をあえて統一せず、店舗毎の地域特性に合わせた独自の営業を行う方針をとっています。そのため、アプリの利用状況にも違いが出るはずなので、そのあたりも分析していきたいです。」
店舗同様、地域の顧客に愛されるアプリを目指して
「今後も天満屋に関する情報はもちろん、天満屋以外の地域の情報もアプリで配信することで、お客様に便利だと思ってもらえるように、天満屋アプリを発展させていきたいです。また、現状はネットショップの告知媒体としてアプリを活用できていないので、今後はそのあたりも連携させていきたいです。」
前述の通り、同社は配信する情報の企画・運用を各店舗に任せている。佐野氏は本部としてそのノウハウを社の資産として残したいと語る。
「社内の運用という意味では、各店舗で様々な取り組みをしている中で培われたノウハウをマニュアルとしてまとめたいと思います。現在運用を担当するメンバーがアプリの導入から色々と試行錯誤してくれていますが、そこで得られた知見が今後もきちんと引き継がれるようにしたいです。また、運用自体ももっとシンプルに、効率的にしていけると思います。シンプルで、ミスなく効果的な運用を目指したいですね。運用開始時は現場に苦労をかけましたので、良い運用方法を作っていきたいです。」
積極的に新しい施策にチャレンジし、常に顧客や地域と共に発展していこうという理念が会社全体に浸透している事が非常に伝わってくるお話だった。引き続きビートレンドとしてもお力添えをしていきたい。
株式会社 天満屋
1829年、備前西大寺(現在の岡山市東区西大寺)に小間物店として創業し、現在は岡山県を中心とする周辺エリアに百貨店を展開する。百貨店のほかスーパーマーケットやゴルフ場など20社以上のグループ企業を有する天満屋グループの中核企業でもある。
URL : http://www.tenmaya.co.jp
*文中の商品名、社名等は、各社の商標または登録商標です。
*記事の内容は、2017年6月取材時のものです。