“誕生日特典”や“人気投票”などの施策を実施
メール、クーポン、SMSで9万会員の店舗利用頻度を高める
日本におけるピザレストランのパイオニアとして認知度の高い『シェーキーズ』。そして、高付加価値のプレミアムサラダバーとグリル料理で、お客様からの支持を集めている『シズラー』――。個性溢れる2つのブランドを中心に外食チェーンを全国規模で展開しているのが、アールアンドケーフードサービスだ。同社は、『シェーキーズ』と『シズラー』の会員9万人に対するモバイルマーケティングに『betrend』を積極的に活用している。果たして、『betrend』はどんなマーケティング施策に活用され、いかなる効果を上げているのか。『シズラー』、『シェーキーズ』での『betrend』の活用方法を探ってみたい。
誕生日は、『シズラー』で
「料金的なハードルは少し高いが、家族の誕生日に食事をするなら、この店に行きたい」――。そう考えているレストランから、自分や家族の誕生日に合わせて割引クーポンが送られてくるとすれば、お客様は喜んでいただけるのではないだろうか。
アールアンドケーフードサービス(以下、アールアンドケー)は、そんな考えからモバイルマーケティングを『betrend』で実践し、『シズラー』会員5万人の店舗利用頻度を高めているという。
「『betrend』の場合、会員とその家族の誕生日を管理し、その情報に基づいてメール・クーポンを配信・配布する機能が備わっている。その機能を用いたプッシュ型の施策は、高級感があり“記念日需要”の大きい『シズラー』のような店舗には、とても効きがいいのです」と、アールアンドケーの業務推進部で、『betrend』を用いた会員管理とマーケティング施策を一手に担っている、中川 氏は説明する。
現在、どの飲食店も“個客の利用頻度”を高めることに力を注いでいる。アールアンドケーは、そのためのマーケティングを『betrend』で展開し、効果を上げているというわけだ。
会員にクーポンをキチンと届けるために
アールアンドケーが『betrend』を最初に導入したのは、今から10年ほど前のこと。きっかけは、『シェーキーズ』の会員組織を立ち上げようとしたことだ。『betrend』は、その会員組織の顧客情報管理と、メール、およびクーポンの配信サービスとして採用された。ただし、『betrend』を使ってマーケティングの実務をこなしていた代理店との契約が切れたことで、アールアンドケーはいったん『betrend』から離れ、他のCRMサービスを利用し始める。「今思えば、それは間違った選択でしたね。」と、中川氏は微笑み、こう話を続ける。
「何しろ、『betrend』の代わりに導入したサービスは、メールを会員にキチンと届けるという基本的な役割さえ担えなかった。当時は、メールにクーポンを添付して送っていたので、「クーポンが送られてこない」との苦情が会員から寄せられることもしばしば。苦労させられました。」
CRMサービスが、ケータイキャリアやメールサービス・プロバイダーの “迷惑メール対策”にしっかりと対応できていないと、せっかく送ったプロモーション・メールが対策の網の目にかかることがある。その問題にアールアンドケーは悩まされ、「業を煮やしていた」(中川氏)わけだ。
そこで、中川氏は代替のサービスを探し、結果、たどり着いた結論が『betrend』の再導入だった。理由は、以前の使用を通じて、メール送付の信頼性が確認できていことだ。またもう1つ、従来のサービスが『Gmail』や『Yahoo!メール』といったフリーメールに対応できていなかったことも、『betrend』再導入の背景としてある。
「スマートフォンの普及が進むなか、フリーメールのアドレスで会員登録を行いたいと望むお客様が増え始めました。『betrend』へのサービスの切り替えは、そうした声に対応する一手でもあったのです」(中川氏)。
こうしてアールアンドケーは、2013年2月から『シェーキーズ』会員(4万人)のCRM施策を『betrend』で再び回し始めた。そして、翌2014年春からは、『シズラー』会員向けの運用もスタートさせている。
会員による人気投票でピザの訴求力を増す
『シェーキーズ』での会員組織の立ち上げ以来、アールアンドケーが実践してきた主たるモバイルマーケティングの施策は、メールを通じたメッセージ(新商品紹介やイベント告知、など)の送付とクーポン配布の2つだ。
『betrend』の再導入以降もこの基本路線に変更はない。ただし、先に触れた“誕生日に合わせたクーポン配布”など、『betrend』の多彩な機能を使ってマーケティング施策の幅を広げている。
また、クーポンの配布方法も、従来のメール添付方式から、『betrend』のクーポン機能を用いたWeb取得方式へと切り替えている。これにより、会員がメールを経由せずともクーポンが得られる仕組みを構築したほか、クーポンの利用実績を履歴として残す環境も整えた。
さらに、アールアンドケーでは、『betrend』を会員に対するアンケート調査にも役立てている。例えば、『シェーキーズ』の全会員を対象にアンケートを実施し、お気に入りのピザや新作ピザの評価をモバイル経由で回答してもらう、といった仕組みだ。
また、そうして集めた顧客の声をもとにピザの人気ランキングを作り、人気ピザの店舗での訴求力を増すといった施策も展開している。
「紙ベースで数万人の顧客を対象に調査するのは大変ですが、我々が『betrend』で展開しているようなオンライン・アンケートなら、さしたる手間やコストをかけずに、商品の評価・評判をタイムリーに収集・集計することが可能です。この辺りも、デジタルならではの良さですね。」(中川氏)
年配層にはテレコールSMSでリーチ
一般消費者の中には、モバイルデバイス・デジタルコンテンツの扱いに不慣れな方も少なくない。とりわけ、年配層の間では、その傾向が強く見受けられる。そうした顧客層にもリーチすべく、アールアンドケーでは、『betrend』のショートメッセージサービス(SMS)を活用した一策を講じている。
具体的には、『シズラー』の会員登録やクーポンの取得をSMS経由で行えるようにしているのだ。これは、“テレコールSMS”と呼ばれる手法で、指定の電話番号に電話をすると、会員登録用のURLが記載されたSMSが届くというものだ。
「特に『シズラー』の場合、年配のお客様にご利用いただくケースが多く、そうした年配の方は、QRコードの扱いにも戸惑われる場合が少なくありません。そこで、ショートメッセージの送付と電話での音声対応で、会員登録やクーポン取得のハードルを下げ、お客様の利便性・利用頻度を高めているのです。」と、中川氏は説明する。
この“テレコールSMS”を経由した会員登録は、月間会員登録数の10%程度あり、同氏によれば、この施策の展開後、「会員登録に関する顧客の問い合わせが減った」との報告を『シズラー』各店から受けているという。
『シェーキーズ』の店舗数は現時点(2015年4月現在)で全国22店舗。『シズラー』は首都圏中心に9店舗。アールアンドケーでは、今後も両ブランドの店舗数を増やしていく計画であり、新店舗の開店時には、もちろん、既存会員9万人に対するマーケティングを実施し、集客に弾みをつけたいと中川氏は話す。また、アールアンドケーが展開する他の業態で会員組織が立ち上がっても、『betrend』ですぐに対応することができるという。アールアンドケーにおける『betrend』の活躍の場は、これからも広がる気配だ。