

埼玉県日高市を拠点に“食と健康のミートピア”『サイボク』を運営する株式会社サイボクは、今年、創業80年を迎えます。地元民に親しまれ、年間多くの来場者が訪れる同園は、長年リライト式カードによる会員管理を続けてきました。
園内の全てのレジを刷新せざるを得ない状況となったことを受け、LINEミニアプリ会員証への全面移行を決断。顧客層の高齢化という課題をいかに乗り越え、会員のデジタル移行をスムーズに進め、大幅なコスト削減を実現したのでしょうか。その背景や今後の展望について、本店エリア営業部 統括マネージャー 吉田氏と企画・広報課 池田氏に伺いました。

本店エリア営業部
統括マネージャー
吉田氏

企画・広報課
池田氏
課題
・1ロット100万円のカード発行コスト
・膨大なデータ入力工数、未活用の顧客データ
・会員申込用紙の保管リスクと管理工数
導入効果
・カード発行コストと関連事務作業ゼロ
・会員数は1年弱で110%の4.2万人突破
・顧客とのタッチポイントのデジタル化達成
レジ刷新がきっかけとなった「負の遺産」との決別
吉田: 園内すべてのレジを入れ替える計画が決まったことが発端です。それまで使用していたリライト式カード(表面の印字情報を書き換えできるカード)端末の部品供給終了が判明して、これ以上このカードを使い続けられなくなったのです。いずれにせよ変えなければならないのであれば、むしろ長年の課題である運用コストの抜本的な見直しに踏み切る好機だと考えました。

入会キャンペーンの時期ともなると、1日数百件もの申し込みがあり、データ入力が追いつかない「情報の空白期間」が頻発していました。このレジ変更を「負の遺産を断ち切るチャンス」と捉え、デジタルへの完全移行を決意しました。
反発を熱意で溶かす、泥臭い「対面サポート」の日々
吉田: 正直に言えば、当初は猛烈な抵抗がありました。「なぜ勝手に変えるんだ」「スマホなんて使いたくない」といった厳しいお声も多くいただきました。
そこで私たちは、徹底したアナログなサポートで応えることにしました。移行開始の2025年6月には、園内に特設ブースを設置し、スタッフがマンツーマンで設定をお手伝いしました。
操作が不安な方にはスマホをお借りし、お名前の入力からホーム画面へのアイコン追加まで丁寧に伴走しました。登録をためらうお客様には「カードは忘れても、スマホは忘れないでしょう?これならポイントを逃しませんよ!」と笑顔でお伝えし、一つひとつ不安を解消していきました。

同時に「LINEミニアプリ」登録を促進するPOPやポスターの他、レジ列の床面に登録用の二次元コードを配置し、レジ待ち時間に登録できるようにするなど、お客様を「絶対に迷わせない」工夫を凝らしました。
全スタッフが一丸となってサポートにあたったこの数ヶ月間は、周りから携帯ショップの店員に間違われるほどでしたね(笑)。

導入から1年弱で見えてきたデジタル化の手応えと、
深化する顧客との絆
吉田: 当初は会員数が激減するリスクも覚悟していましたが、結果は逆でした。わずか7ヶ月で旧カード会員数(3万8,000人)を超え、現在は4万2,000人を突破しています。
業務効率化・コスト削減のインパクトも絶大です。以前は膨大な時間を要していた入会情報の入力作業が、お客様ご自身に操作いただくことで「ゼロ」になりました。カード発行費の100万円もそっくり削減できました。

さらに面白い変化ですが、LINEミニアプリ上での施策の認知が広がるにつれて、お客様同士のコミュニケーションが生まれたのです。お客様同士で「LINEミニアプリにすると便利だよ」と教え合ってくださる光景が見られるようになるなど、全く想定外でした。
デジタルで「きっかけ」を創り、現場(リアル)の「感動体験」へつなぐ。
パーソナライズされた顧客満足を目指して
吉田: 今後は蓄積された購買データや属性情報を活かし、30代のママ層や常連の男性客など、一人ひとりの嗜好に合わせたアプローチに挑戦したいです。お客様に「自分にピッタリな情報が届く」という価値を提供し、サイボクでの体験をより豊かなものにしていただきたいですね。
サイボクのお客様は、高齢層はもちろん、デジタルネイティブな子どもたちも、「ガラガラ」抽選会や大道芸といったリアルイベントを心から楽しんでくださいます。私たちは、五感を刺激する現場ならではの楽しみや、そこで生まれるコミュニケーションを何よりも大切にしています。
デジタルの利便性だけを追うのではなく、LINEミニアプリでイベントを知って来園していただき、現場で五感を使った体験を楽しんでいただきたいのです。
デジタルで「きっかけ」を作り、リアルな場で「感動」をお持ち帰りいただく。このデジタルとリアルの融合と循環こそが、私たちが目指す、これからのファンづくりの本質だと考えています。


