株式会社めのや 様

「顧客の顔」が見えれば売上は変わる。EC売上20%増を達成した『めのや』の“育む”アプリ戦略

「顧客の顔」が見えれば売上は変わる。EC売上20%増を達成した『めのや』の“育む”アプリ戦略

島根県出雲市で創業125周年を迎える老舗、株式会社めのや。『出雲型勾玉』を中心に、天然石アクセサリーの制作・販売も手掛ける同社は卓越した技能と信頼を礎に、多くのファンに愛されています。2007年に開始したEC事業は売上の柱へと成長しましたが、実店舗との顧客データ連携ができていない点が長年の課題でした。
コロナ禍で顧客管理の一元化が急務となり、アプリ導入とデータ統合を決断。社内の理解・浸透という壁に直面しながらも、プロジェクトを推進しEC売上20%増を達成しました。困難を乗り越えた背景や独自の運用ノウハウについて、ビジネス推進グループの川井氏に話を伺いました。

ビジネス推進グループ 兼 商品グループ 開発 MD ゼネラルマネージャー 川井氏

課題

・コロナ禍による実店舗の売上減少を受け、ECの強化と相互送客が急務だった
・実店舗のアナログなポイントカードとECでデータが分断され、顧客の全体像が把握できていなかった

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導入効果

・アプリ導入後、EC売上が右肩上がりで成長し、直近で20%増を記録
・多彩な施策の推進の実現によるアクティブユーザー数の大幅増加

店舗とECのデータが分断
8万件もの会員データがあっても見えない顧客像

ーーアプリ導入のきっかけや、当時の課題について教えてください。

川井氏:最大の課題は、実店舗とオンラインストアの相互送客でした。私がめのやに入社した2021年はまだコロナ禍が収束しておらず、実店舗の売上シェアが圧倒的だった弊社にとって、ECの購入率の伸び悩みはまさに死活問題でした。

当時、実店舗では約8万人の会員を抱えていたものの、運用はアナログなカードでした。オンラインストアとはシステム基盤が別れていたため、店舗とECの双方を利用してくださる「ロイヤルカスタマー」であっても、異なる二名の顧客としてカウントされてしまっていたのです。

潜在的には熱烈なファンがもっといらっしゃるはずなのに、お客様の解像度が低く、データ上で顧客の「真の姿」が見えてこない。顧客体験の最適化が難しい状況でした。

たまゆら 東京ソラマチ店。顧客向けの工房製作勾玉から、外国人観光客や修学旅行生など、ライト層に向けたカジュアルな商品まで、幅広く展開。

ーー長年使っていた会員証の仕組みを変えるにあたり、社内の反応はいかがでしたか?

川井氏:
社内では、これまで培ってきた会員情報(当時で約8万人)をアプリへ移行せず、一度リセットすることに対する懸念はとても大きかったです。しかしながら、既存会員8万人のうちアクティブな会員数は限定的だと判断し、再スタートを決断しました。結果として現在の会員数は約5万人ですが、以前よりもアクティブな顧客の数は圧倒的に増えています。

また、慣れ親しんだ運用を変えることへの抵抗感は大きかったものの「なぜ今、新しいシステムを導入しなければいけないのか」を理解してもらうために、現場との意思疎通を大切に丁寧な調整を行いました。

レジでアプリの会員証を読み取り、購入金額に応じてシームレスにポイントを付与。

店内に多数設置されたアプリ訴求のPOP。実店舗からのスムーズな会員登録を後押ししている。

既存システムとの相性と操作性の良さ、
独自施策に強い『betrend』

ーー数あるCRMツールやアプリプラットフォームの中から、『betrend』を選ばれた最大の決め手を教えてください。

川井氏:
最大の決め手は、既存システムとの相性です。当時、ECサイトを『makeshop byGMO 』でリニューアルしたばかりだったため、カートシステムをそのまま活かせることは必須でした。さらに、実店舗で利用しているクラウドPOS『スマレジ』との連携も非常に重要な条件でした。

また、管理画面の使いやすさも大きな理由です。専任リソースが限られる中、直感的な操作が不可欠でした。

他社も検討しましたが、実現したかった「ファンが楽しめる独自の施策」を妥協したくありませんでした。既存システムを活かしつつ、やりたい施策を自社主導でスピーディーに実行できる――これが『betrend』を選んだ最大の理由です。

これまでの試行錯誤やお客様とのエピソードについて笑顔で振り返る川井氏。

「毎日開きたくなる」緻密なチューニングが育んだ、
ユーザー参加型コンテンツ

ーーアプリのアクティブ率が非常に高いと伺っています。具体的にどのような施策を展開されているのでしょうか?

川井氏:
アプリを単なるデジタル会員証にしたくなかったので、ユーザーが「毎日アプリを開きたくなる」ことを目標に、魅力的なコンテンツ作りに力を入れています。月に数回のクイズ企画や人気投票など、ファン同士で自然と盛り上がる参加型コンテンツは、意識的に作るようにしています。

また、スクラッチ機能を使った施策も好評です。出雲の「神在月(かみありづき)」など、全国の店舗が盛り上がるタイミングに合わせて、当選確率や付与ポイント数を緻密にチューニングしています。

いずれも仕組みとして置いておくのではなく、お客様の行動や興味・関心、店舗の状況を観察しながら調整を加え、来店や購入の確実な追い風にできる運用を心がけています。
ーー特に反響が大きかった施策はありますか?

川井氏:
毎日19時に更新している、「今宵の推し石」という企画は大好評ですね。お客様自身がお持ちのアクセサリーや天然石の写真を投稿するものなのです。アプリのリリースからスタートした企画で約2年間毎日更新していますが、現在もたくさんの投稿が寄せられるほどの人気ぶりです。

実はこの企画も最初からうまく回ったわけではありません。始めた当初はなかなか投稿が集まらないため、本社や店舗のスタッフに投稿を依頼して、「こういう風に楽しむ場所ですよ」という見本を示したり、来店されたお客様へコンテンツのご案内をしたり、いくつもの試行錯誤がありました。

お客様にとって、天然石は単なる「モノ」ではなく、ご自身の想いやストーリーを投影する大切な存在です。そうしたお客様同士が想いを共有し、自然と温かなコミュニティが育まれていることは、天然石を扱う弊社にとって何よりの喜びです。

EC売上20%増へ。
店舗でもネットでも選ばれる深い信頼感

ーーアプリ導入後、売上や顧客行動にどのような変化がありましたか?

川井氏:
EC売上は順調に伸びていて、アプリ導入前と比べて直近では 20%増を記録しています 。特に大きな変化は、実店舗がメインだったお客様が、オンラインストアも併用してくださるようになったことです。

店舗へなかなか足を運べない遠方のお客様も、アプリを通じて日頃からつながることで、オンライン購入が身近な選択肢として定着してくれたと感じています。

「データ統合によってお客様の『真の姿』が見えてきた」と、確かな手応えを振り返る。

アプリと蓄積データを駆使し、
天然石の魅力や愉しみ方を広く届けたい

ーー今後、アプリで蓄積されたデータをどのような取り組みに活用したいと思われますか?

川井氏:
一番の課題は、「2回目の購入をどうやって促すか」です。せっかくアプリをダウンロードして新規購入していただいても、その後離反してしまうケースも少なくありません。そのため、最適なタイミングでのプッシュ通知やクーポン配信により、リピート購入を促進することが直近の重要テーマです。

また、客層の拡大も戦略の柱です。現在は40代〜50代の女性が中心ですが、より幅広い世代に訴求するため、日常使いしやすい価格帯の商品拡充を進めています。より身近に天然石を身に着けていただくことで、石の持つ魅力やファッションアイテムとしての可能性を発信していきたいと考えています。

今後も、アプリという強力なツールと蓄積されたデータを駆使し、より多くのお客様へ『めのや』ならではの「天然石の愉しみ方」を届けていきたいですね。
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株式会社めのや

島根県松江市の玉造温泉にて明治34年創業。日本最古のおまもりである「勾玉」をこれからも作り伝え続けます。出雲型勾玉の伝統と文化を受け継ぎ、天然石がもたらす彩りによって、日々の暮らしをもっと「愉しく」もっと「えすこ」にすることが私たちの不変の使命です。

ウェブサイト: 

https://www.anahitastyle.com/

※文中の商品名、社名等は、各社の商標または登録商標です。
※本記事は2026年6月取材時の内容です。

スマレジ連携

makeshop byGMO連携

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