

京都府綾部市は、京都府の北中部に位置し、京野菜の代表とも言える『万願寺とうがらし』や、お茶の栽培に力を入れている。またグンゼ株式会社が同市発祥の企業であるなど、繊維産業で栄えた街としても有名だ。同市の人口は現在約3万4千人。他の多くの地方自治体と同様、人口減少や高齢化の問題に直面する中で、Iターン・Uターンなどの定住への取り組みに力を入れている。
市の多くを山林が占める一方、比較的都市部へのアクセスが良い事や、市が定住対策に努めていることから、都会から田舎への移住を検討する人の間では有力な選択肢として知られるようになった。
一方で、日々起こっている地元の出来事を、的確に地域住民へ伝える活動にも力を入れている。情報伝達手段として『betrend』をご採用いただいている同市の総務課の上田氏と渡邉氏に、その取り組みや効果についてお話を伺った。

総務課 上田氏

総務課 渡邉氏
地域のインフラ問題を解決しながら
辿り着いたメールによる情報発信
綾部市のような自治体では、地域住民への連絡手段が限られており、その確保が重要となる。そこで同市では、NTTが提供していた『オフトーク』(電話回線を通じて各家庭に音声を流すサービス)を地域の放送組合が導入することを支援し、普段は放送組合による地域情報の放送とあわせて行政情報を放送し、災害時等には情報を素早く確実に地域住民へ伝達する体制をとっていた。

綾部市街地
ところが、時代の移り変わりと共に進化するインフラ技術によって新たな問題に直面したと言う。
「6年ほど前に、NTTから『オフトーク』のサービス終了の連絡がありました。これは大きな問題だと、『オフトーク』に変わる情報伝達手段を検討し始めました。」(上田氏)
そんな状況でも、すぐに『betrend』を活用したメールでの情報配信への切り替えが出来たわけではない。それどころか、実際には『betrend』の導入まで4年の歳月を費やす事になる。『オフトーク』廃止の話が出てからすぐにメールでの情報伝達を提案したものの、その当時は今ほど地域に携帯電話が普及しておらず、電波が届かない地域の問題も残っていたため、結局すぐの導入には至らなかったそうだ。その後携帯のアンテナ設備を徐々に整備し、また『オフトーク』の廃止時期が想定よりも遅れたことでこの難局を乗り切った同市は、2014年に『betrend』を導入し、メールでの情報伝達を開始する事になる。
「メールサービスの検討で、最初にお声がけしたのがビートレンドでした。サービスのデモなど積極的に案内していただき、営業の方の対応がとても早くて助かりました。一つの契約で複数の地域がそれぞれ配信を行いたい、といったこちらの要望に対しても色々と提案してくれましたので、ビートレンドに決めました。」(渡邉氏)
「地域住民への丁寧な説明」が
行政としての責任であり、成功の鍵
「『オフトーク』を廃止して『betrend』でのメール配信に切り替える際には、市内各地域の自治会への説明会や、住民に対するメール登録説明会を何十回もやりました。大きな公民館に近隣の住人に集まってもらい、実際に携帯電話をお借りして一緒に登録方法を確認しながら登録をお手伝いしたりもしました。若い方だと方法を説明すればすぐに登録できる場合が多いですが、年配の方はそうはいきません。また、各世帯が点在している地域も多いため、必然的に何度も足を運んで説明する事になりました。」(上田氏)
行政インフラの一端を担う仕組みのため、当然市議会への説明も必要となり、そこにも大変な苦労があったようだ。そんな地道な活動が実って、メールサービスを運用開始し、登録者は現在、市民の2割にあたる約7,000件まで増えているそうだ。
地域に密着した情報をタイムリーに
「メールの内容については特に市側でチェックするような事はしていません。最低限のルール、例えば選挙運動に関する情報を流さないとか、特定の商売の宣伝には使わないなどのルールだけ定めています。市側が介入すると、どうしても配信までに時間がかかってしまうため、迅速にメールを配信することが出来ません。お悔やみの情報など、タイミングが重要な情報も配信していますので、各放送組合にお任せしています。」(上田氏)
前述した『オフトーク』が普及していた地域は、メールの活用も活発だ。逆に比較的街中の地域は利用が停滞しているという。その意味では情報伝達のインフラが乏しかった地域がメール配信活用を牽引していると言えるだろう。
「『オフトーク』と比較して、伝える内容が変化していると言う事はないのですが、伝え方が簡潔になったかもしれませんね。また、これまでにない効果として挙げられるのが、現在綾部市に住んでいない人が綾部市の情報を受信できるようになったことです。例えば地域の防災情報をメールで配信した時に、市外に在住している地元出身者がその情報を把握できるようになったので、他の都市に移住した息子さんや娘さんが、災害情報が配信された時に地元に残る親御さんに連絡するという使い方をされているようです。」(渡邉氏)
メールサービスへの登録は基本的に誰でも可能だが、市のホームページ等では告知せず、地域の公民館にQRコードのついたチラシを置いたり、市役所の窓口で登録を受け付けたりしている。また、前述のように近親者同士で登録を促すような口コミでの登録も増えているようだ。
「地元の情報を地元の人の手で流しているので、それが登録する大きな動機になっているのだと思います。行政が流す情報よりも身近なものになるので、それが成功要因の一つになっているのではないでしょうか。」(渡邉氏)
地元に根ざした様々な情報伝達ニーズに
展開していく
「地元では消防団を組織しています。消防署の職員とは別に、火事の際に招集がかかる住民組織で、市内に約1,000人います。私自身もそうですが、日頃は他の仕事をしている人達なので、火事の際に連絡する手段が必要なんです。以前は『オフトーク』を利用していましたが、それを『betrend』を利用して出来ないかなと今検討しています。

消防団員への連絡手段として、音声通話を利用した『betrend カスタムIVR』(自動音声応答システム)の導入も検討いただいているそうだ。
地域住民が安心して地元で暮らせる環境を実現したいという綾部市の取り組みにビートレンドも引き続きお力添えしたい。


