通販評論家 村山 らむね
(有限会社スタイルビズ 代表取締役 青山直美)
Amazonがドメイン取得20周年を記念して、世界中で7月15日にPrimeDayを実施した。タイムセールが中心の企画だったが、世界で様々なAmazon新記録を打ち立てたようだ。
■AmazonPrimeday http://www.amazon.co.jp/b?node=3607007051
「プライムデー」を実施した9か国では、この日だけで3,440万点の商品が購入されました。これはつまり毎秒あたり398点の商品が購入されたことになります。またこの日世界で購入されたAmazonのデバイス製品の売上も、過去最大となりました。
とのことで、大きな成功を収めたとしている。
[参考]
●産経ウェブ http://www.sankei.com/economy/news/150718/prl1507180025-n1.html
楽天スーパーセールのようなセールを、ネット上でする動きは、中国の独身の日が最大規模で、アリババグループは淘宝網などで1日にして1兆800億円という売上を記録しているが、AmazonのPrimeDayも、売上高額こそ明かされなかったが、同時期比でかなりの売上をあげたと発表されている。
売上額よりも、Prime会員を増やすための方策とも取り沙汰されており、Amazonが「送料無料で早く届く」という利便性提供するということで、買い物のファーストアクセスになろうとすることに貪欲であることが伺える。
特にアメリカでは、FlurryAnalyticsの発表にあるように、消費者のモバイルでの利用時間の割合が、モバイルウェブよりも圧倒的にモバイルアプリが高くなっている。アプリの利用時間が86%で、ウェブの利用時間は14%となっているのだ。
日本ではここまで極端ではないだろうが、モバイルウェブよりアプリという傾向は今後強くなるだろう。
Amazonがとる「送料無料で届くのが早いから、なにか欲しい時はAmazonアプリにファーストアクセスして」という施策は当然なのだろう。気づけば、私も確実に買い物をしたいときはわざわざGoogleから探さずに、欲しいな→Amazonアプリを立ち上げ→アプリからネットにつなげて探す→なければ、楽天アプリを立ち上げる、というような動作をしていることが多い。
届くのが早いという期待値が、アプリを選択する上で非常に大きな意味を持つためか、いかに注文してから早く届けるかという競争も激化している。
たとえば、ドローンという言葉を知らしめた一昨年のAmazonによる配達用ドローンのデモPV。
■Amazon配達用ドローン
https://www.youtube.com/watch?v=98BIu9dpwHU
また2013年の年末には、注文しなくても今までの購買履歴などで推測し、拠点まで届けるという特許を取得したことで話題を呼んだ。
■Amazonanticipatoryshipping
http://japanese.engadget.com/2014/01/19/amazon/
そして、最近では、このような特許も出願しているそうだ。最近、私がセミナーでスピーカーをするときには必ずこの↓動画を紹介する。学生などに非常にウケる。
https://www.youtube.com/watch?v=SkxKF2cxHgY
Amazonがこの20年で、地球の買い物を変えたと言ってもいいだろう。ワンクリックで何でも買える。翌日もしくは即日届く。最近では、旅行チケットや米国では電気工事などにも進出。Amazonにてワンクリックで買えないものは、もはやなくなってきていると言えるだろう。モノからサービスへと、Amazonの商品領域は広がりつつある。
扱う商品・サービスを広げ、欲しいと思ってからの意思表示を簡潔にし、届くまでを極限まで短縮するこの3つの領域の恐ろしいまでの努力が、Amazonの未来の可能性を広げているように思えるし、また、「買い物」の未来についての示唆を与えてくれる気がする。
※文中の商品名、社名等は、各社の商標または登録商標です。