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導入事例

横浜市金沢区 様 / 株式会社137 様 -導入編-

地域の声に耳を傾け“地域のためにできること”を
日々実践する防災システム

横浜市金沢区 様 / 株式会社137 様

神奈川県横浜市の南部に位置する金沢区。横浜・八景島シーパラダイスを筆頭にさまざまな観光地があり、また歴史的な文化財も多く残されている魅力的な街だ。その金沢区は防災力・災害対応力向上の取り組みの一環で、自治会・町内会への情報伝達と地域の状況集約を迅速かつ的確に行う『緊急時情報伝達システム 5co Voice(ゴコボイス)』に『betrend カスタムIVR』を活用している。住民の安全を守るためのシステムは、いかにして生まれたのか。金沢区の地域力推進担当課長である中村氏と、本システムの共同企画を行った株式会社137の代表を務める黒田氏に話を伺った。

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「弱者のための仕組みづくりを」という意志の出会い

現在横浜市では「環境未来都市」という、地球温暖化などの環境問題にとどまらず、地域全体が抱える課題の解決に取り組むプロジェクトを進めている。

「金沢区では地域と顔の見える関係づくりを進めるとともに、ICT(情報通信技術)やオープンデータを活用して地域課題の解決に臨んでいます。この二つの要素を両輪とした取組は横浜市のなかでも金沢区独自のものです。」と中村氏は語る。

海に面し自然が豊かな金沢区は、一方で崖地の近くや津波の危険がある地域に住んでいる人も多く、自然災害に対する住民の意識が高いという。「災害時の情報が欲しい」という地域の声に耳を傾けながら、ICTを用いてその要望に応えていきたい。その想いを実現したのが、『緊急時情報伝達システム 5co Voice』の企画を担当したもう一社のパートナー、株式会社137だ。

金沢区 地域力推進担当課長 中村 氏

株式会社137 代表 黒田 氏

株式会社137の代表・黒田氏は『Save the Baby』という防災・減災のためのソリューション開発を独自に進めていた。これは、インターネットが普及していない途上国において、母子向けに必要となる情報の受発信(予防接種のタイミングなど)を、管理画面で入力したテキストメッセージを音声に変えて送ったり、電話機のボタン操作で質問に回答したりすることにより、インターネットを使わず電話機だけでデータのデジタル記録や即時性の高い双方向のコミュニケーションを実現できるシステムだ。

「私たちが持っていた元々の構想は、インフラが整っていない国や地域で使用することを想定したシステムでした。ですが、このシステムをご覧いただいた金沢区のご担当者様から、日本国内でもインターネットにあまり触れていない高齢者にとっては、電話を使ったやりとりのほうが確実に情報が届くのではないか、という提案があったんです」と黒田氏は当時を振りかえる。
金沢区の人口は、平成18年度をピークに減少に転じており、ここ数年は、年間千人程度減少。高齢化も進んでいる。そこで防災についても、高齢者にとって扱いやすいシステムを考案する必要があった。

「我々としては、インターネットやメールを活用するのが当たり前のように考えていたのですが、“本当に地域が求めているのは電話のシステムなのではないか”と思い当たりました。」と話す中村氏と黒田氏との出会いは、必然だったといえるのかもしれない。そして黒田氏が考えていた企画を、ビートレンドが開発を担当し、金沢区の要望に応えるべく改善を重ねながら、『betrend カスタムIVR』を開発し『緊急時情報伝達システム 5co Voice』 を完成させた。

確実かつ迅速な情報伝達手段として活躍

「これまでは、173か所すべての町内会には連絡することは現実として難しかった」と中村氏は語る。有事の際には、金沢区からは、その173か所すべての自治会・町内会をそれぞれ束ねている14か所の地区連合町内会に直接連絡を行っていたが、そこから先にはどうしてもタイムラグが発生してしまっていたのだ。しかし、このシステムを導入後は、すべての町内会に3分で発信処理が完了するため、ダイレクトかつ迅速に連絡をすることができるようになったという。

電話がかかってきたタイミングで電話に出られなかった場合には、折り返しかけ直すことで、同様の情報を聞くことができる。

2015年9月の記録的な大雨では、金沢区にも大雨警報と土砂災害警戒情報が発表され、区内8か所に対し避難勧告を発令した際には、このシステムを用いて避難勧告と避難所開設の情報を発信することができた。また南米チリ沖の地震の際には、日本にも夜中に津波注意報が発表される可能性について、システムをつかって前日の夜に全自治会・町内会へ発信したなど、すでに実用化は始まっている。

beterend カスタムIVR イメージ
目指すのは、双方にとって最適なコミュニケーション

今後大きな災害が起きた場合に備え、情報を発信する側の職員の身の安全を確保しながら業務の遂行ができ、また大きな設備投資をせず、誰もが簡単に使える道具での情報伝達システムの構築が重要だと考え、企画構想を積み上げてきたようだ。

中村氏も、今後のさらなる最適化については非常に意欲的だ。「今は区からの情報の発信用に使用していますが、逆の使い方も検討しています。逆というのは、例えば台風などのときに区役所に問い合わせが殺到してしまう事態には、情報の受け皿として利用するべくシステムをアップデートできないか、ということです。あるいは、災害時に自分のいる地域の状況を知るため特定の番号に電話をかけることで『あなたの地域は避難対象になっていますよ』と案内することもできないかなと考えています」あらゆる事態を想定し、緊急時に確実かつ安心できる情報を提供する方法は、未だ発展の余地を残している。

金沢区から、世界に向けた防災システムへの発展

黒田氏が行っている『Save the Baby』のプロジェクトにも、今回の金沢区の事例は大きく影響しているという。
このプロジェクトは、2014年に世界銀行が開催した「世界防災・減災ハッカソン」をきっかけに生まれ、東京大会で見事一等を獲得。世界大会でファイナリストに選出された。また、今年2015年3月に開催された、「国連防災世界会議」パブリック・フォーラムでは、『Save the Baby』のプレゼンテーションの際、金沢区での実装事例も発表した。ここでも大きな反響があり、国内外で各大学機関と連携し新たな知見を増やしているところだという。このように大きな注目を集めているプロジェクトだが、実際に運用し現場の声に触れると、黒田氏としては想像もつかない気づきが多々あるという。

「例えばチリの津波の警報については、 夜中に津波の到達が想定されたため、注意報発令の前に避難の準備情報を発信しました。その結果、余裕を持って情報を提供することが“現場の方々に対して、安心感与える大きな効果がある”という発見につながりました。そのようなフィードバックがあるからこそ、システムとしてはどんなことが必要か、検討・反映していくことができるのです」と黒田氏は語る。

以前から、安全・安心に関わる仕事をしていたという黒田氏は、3.11の震災をきっかけに、自分の残りの人生を社会のためにどう生かせるか、ということを強く意識するようになったという。また一方で、ただ企画・提案するだけの人間になるのではなく、新たな視点での着想から、課題解決に向けたプロジェクトを実践し社会に新たな価値を生み出す事業構想の重要性に気づく。そして2014年4月、社会人専門のビジネススクール事業構想大学院大学に入学。ゼミメンバーで設立された法人が「株式会社137」である。

そして、その黒田氏の想いをフィールド上で実践する機会となったのが金沢区であった。中村氏は、地域課題への取り組み方について「行政“対”民間という図ではなく、行政と民間が“一体”となって課題に取り組むことが一番重要だと考えています」と話す。上から指示を出すだけ、あるいは構想を練るだけに止まらず、まずは“実践していく”という強い理念が合致して生まれた今回の『緊急時情報伝達システム 5co Voice』。地域に根ざしたシステムとしての発展に引き続きビートレンドも力を添えていきたい。


横浜市 金沢区

神奈川県横浜市の南端に位置し、周囲を海や山に囲まれ、豊かな自然にあふれる金沢区。
横浜市の「環境未来都市」という、地域全体が抱える課題の解決に取り組むプロジェクトの中で、金沢区では地域と顔の見える関係づくりとオープンデータの推進を含めたICT(情報通信技術)の活用の二つの要素を両輪とした、先進的かつ独自の取組を進めている。

URL : http://www.city.yokohama.lg.jp/kanazawa/

株式会社137

世界銀行主催の世界防災減災ハッカソン東京大会にて優勝、続いて世界大会でグローバルファイナリスト入りした『Save the Baby(A maternal health digitization and communication tool)』を考案した黒田代表と、事業構想大学院大学1期生のゼミ仲間により設立。安全安心・危機管理における課題解決に向け、企画・提案から実践まで手掛ける。オープンイノベーションを推進し、新たな社会的・経済的価値の共創を目指す。

URL : http://137.co.jp/

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